コンクリートのクラック
クラックはコンクリートの性質上なかなか避けられません。
生コンクリートが硬化する際に収縮するため多少のクラックは発生してしまうものです。
また、温度差によってもコンクリートが多少伸縮しますのでそれが原因でクラックが入ることもあります。
駐車場など、コンクリート舗装では3mから5m程度に目地を入れて対策をとりますが、それでも完全に発生させないのは難しいのではないでしょうか。
シャーペンの芯がすっぽりと入らない程度のヘアクラックであれば、気にしなくても大丈夫でしょう。
クラック対策として
1.水セメント比を小さくする(水を少なくする)。
ただし、柔らかい生コンは必ず水セメント比が大きい訳ではありません。
2.ワイヤーメッシュ、鉄筋の配筋
3.目地、スリットの設置
4.打設後の養生(急速な乾燥は避ける、すぐに荷重を掛けない、振動を与えない)
コンクリートの仕上げ
コンクリートを打設した後の仕上げ方法は
- 木鏝(キゴテ)押さえ
- 金鏝(カナゴテ)押さえ
- 刷毛引き(ハケビキ)
の3つの方法が一般的です。
「押さえ」とは、鏝によって表面を仕上げることで、たとえば「金鏝2回押さえ」といえばコンクリートの締まり具合を見ながら2回繰り返すこと。
真冬の場合、コンクリートがなかなか締まらないので、コンクリートの打設完了が遅いと押さえ終わるのに真夜中まで掛かる場合もあります。
ちなみに「均し」とは、コンクリートがまだ柔らかい状態の時にトンボや木鏝で表面を平らに均すこと。
木鏝押さえ
木鏝(現在はプラスチック鏝もあります)で仕上げるため、表面はざらざらしており、仕上げ材によって隠れる場所や、モルタルを塗るような場所で使用します。
金鏝押さえ
金鏝による最終の仕上げとします。
表面はツルツルして外観的に綺麗ですが、人が歩く場所では雨などにより濡れると非常に滑り易くなり、注意が必要です。
押さえのコツとして、1回目でいきなり金鏝で押さえ始めても綺麗には仕上がりません。
均した後、コンクリートが締まってきたら、木鏝で表面の凸凹をなくし、表面をペースト状にしながら金鏝を掛けます。
2回目、3回目を掛ける場合は直接金鏝で。
刷毛引き
コンクリートの表面を刷毛で引いて、凸凹に仕上げます。
化粧的な意味や、滑り止めとして人が歩く場所や車が通行する場所に適します。
刷毛引きのコツは、これもいきなり刷毛で引いても綺麗にいきません。
均した後コンクリートが締まってきたら、金鏝押さえ1回目と同様に押さえます。
出来れば2回押さえた後、バケツに入れた水に刷毛(または箒)を入れ、一振り、二振りと水を切ってからコンクリート表面を撫でます。
コンクリートブロック塀
コンクリートブロック造による塀の基準は建築基準法により定められています。
ただし、その内容は最低限の規定であり、さらに安全側の規準である(社)日本建築学会の「コンクリートブロック塀設計規準」があります。
以下抜粋
建築基準法
- 施工最大高さ H=2.2m以下
- 2m以下の塀は厚さ100mm以上、2mを超えるものは厚さ150mm以上のブロックを使用。
- 基礎の成(高さ)は350mm以上とし、根入れ(地中部)を300mm以上とする。
- 鉄筋は9mm以上のものを縦横に800mm以下の間隔で配筋する。壁頂部及び基礎の横筋に180°フックを用いる。ただし、鉄筋径の40倍以上を定着させる場合は省略できる。
- 延長3.4mごとに9mm鉄筋を入れた、高さの1/5以上突出した控壁を設ける。ただし、高さ1.2m以下の塀では不要。
(社)日本建築学会 コンクリートブロック塀設計規準
- 施工最大高さ H=2.2m以下
- 2m以下の塀は厚さ120mm以上、2mを超えるものは厚さ150mm以上のブロックを使用
- 基礎の根入れ深さは塀の高さにより決定する。
基礎の根入れ深さと塀の高さ 補強ブロック塀 型枠ブロック塀 H I型基礎 逆T・L型基礎 I型基礎 逆T・L型基礎 1000 350 350 450 450 1200 350 350 450 450 1400 400 350 500 450 1600 450 350 550 450 1800 500 350 600 450 2000 - 400 - 500 2200 - 450 - 550 - 鉄筋はD10以上のものを縦横に800mm以下の間隔で配筋する。
ブロック塀の配筋間隔 控壁 ブロック塀の高さ 空洞ブロック
縦筋間隔型枠ブロック
縦筋間隔あり 1.6m以下 800 400 1.6を超え2.2m以下 400 400 なし 1.2m以下 800 400 1.2を超え1.6m以下 400 400 - 高さ1.2mを超える塀は3.4mごとに控壁を設ける。控壁の縦筋は高さ1.8m以下はD10、1.8mを越える場合はD13、横筋は800mm以下で配筋する。控壁は400mm以上突出し、高さは塀の高さより450mm以上低くしてはならない。控壁は塀の端部より800mm以内に設ける。
ここで挙げているのは「塀」であり、「土留」ではありません。
土留の場合は認定された型枠ブロックを使用します。
ブロックを積むコツ
ブロックを積むとき、立てたブロックの妻側にモルタルを載せます。
ブロックは乾燥していますので、モルタルの載せる面をあらかじめ水で濡らすか、モルタルを少し柔らかくしておきます。
ただ載せてブロックを積もうとするとブロックを横にした瞬間、モルタルは落ちてしまいます。これを防ぐには、モルタルを載せた後、ブロックを地面にトントンと当ててモルタルを馴染ませるか、モルタルの載っている面を底辺とした三角を作るように鏝でモルタルを擦ります。
コンパネ
コンパネとはコンクリートパネルの略。コンクリートを入れる型枠を作成するベニヤのことです。
コンクリートから剥離し易く、仕上りがツルツルになるように塗料が塗ってあるベニヤもあります。
土木ではベニヤの用途といえばほぼ「コンパネ」なので、ベニヤを見れば「コンパネ」と呼ぶ人が多いですが、建築の場合ベニヤの種類はコンパネはもちろん、構造材や捨て張材など用途はさまざまです。
すべてのベニヤ=コンパネとは異なりますのでご注意を。
排水トラップ
排水トラップとは悪臭、害虫などを予防するために排水管の途中に封水を作る事です。
たとえば洗面台の下を覗くとシンクの排水口から延びた排水管が「S」字を90°回転させた状態に曲がっていると思います。これが排水トラップです。
お風呂では排水口に常に水が溜まっている部分があると思います。これも排水トラップです。
もし建物内で下水道臭くなった場合、封水の水がなくなる事(破封)によるものが原因の一つと考えられます。
逆に問題となるトラップとして二重トラップ(ダブルトラップ)があります。
これは、トラップが設けてある排水管にさらにトラップが設けてある状態で、二重トラップになっているとトラップ間の空気が密封され、排水が流れにくくなってしまいます。
宅内排水設備工事では器具側にトラップが設けているのに、汚水桝にトラップ付きを使用すると二重トラップとなります。
このような場合の対策として片方のトラップを撤去するか、または、トラップ付き汚水桝の蓋に空気穴を設ける(エアキャップ付蓋)ことで対処できます。
白華現象(エフロレッセンス)
白華現象(はっかげんしょう)とは、コンクリート、モルタル、目地などの表面に綿状の白い結晶が発生することです。
原因はセメントに含まれるアルカリ成分が雨、雪などにより溶け出して表面で乾燥し、結晶化したためです。
白華により構造物の性能が損なわれる事はありません。
ただし、外観的にあまり綺麗ではありませんので気になる方は多いと思います。
「どうしても気になる!」という方の為に除去方法を。
白華が綿状で薄い場合、水洗いで比較的除去が可能です。
また、堅固に結晶化した場合、ワイヤーブラシ、皮すきで削り落とすことが可能です。
ほかに、白華除去剤、白華防止剤という物もありますので利用してみてはいかがでしょうか。
砕石
砕石とは字の如く石や岩、リサイクルの場合はコンクリートなどを砕いた材料です。人工的に砕いた製品ですので、見た目はゴツゴツしています。
リサイクルとありましたが、原材料によってバージン材、リサイクル材と分かれます。
砂利と混同されますが、砂利は川や海などで採取される300mmまでの天然の砂・石などで、おおむね表面は丸みを帯びています。
生コンクリートの材料である粗骨材は、以前、主流は砂利でした。
しかし、需要の増加、採取による環境破壊などにより、現在は砕石に移り変わってきています。
砕石にも様々な種類があります。
ここでは主に土木工事、外構工事で使用する種類ごとの用途を説明します。
★クラッシャーラン
○クラッシャーラン(砕石) C-40、C-30など
岩盤を砕いたもの(バージン材)で、粒度(大きさ)はC-40が0から40mm、C-30は0から30mmと、数字は最大粒径を意味します。
岩盤を砕いたものなので、色は青系、緑系と見た目が比較的綺麗です。
締め固め作業によりよく締まります。
主な用途
構造物の基礎砕石
道路構成の下層路盤
駐車場の砕石舗装
コンクリート舗装や簡易舗装の路盤材
○リサイクルクラッシャーラン(再生砕石) RC-40など
構造物取壊しなどで発生したコンクリート塊などを砕いたもの(リサイクル材)です。
コンクリートなどを砕いたものなので、色は概ね灰色で見た目あまり綺麗ではありません。
締め固め作業によりよく締まります。
主な用途はクラッシャーランと同じですが、他に構造物、掘削の埋戻しなどにも使用されます。
金額はクラッシャーランより安価です。
砕石全体に言えることですが、公共事業で使用する砕石はほぼ再生材です。
近くでバージン材が発生する工事(トンネル工事等)があれば流用することもあります。
★ダスト
○ダスト C-10
岩盤を砕いたもので、粒度は0から10mmとなります。
締め固め作業により非常に良く締まります。
主な用途
埋設管の基礎
防護砂
埋戻し
○リサイクルダスト(再生砂) RC-10
構造物取壊しなどで発生したコンクリート塊を砕いたもので、粒度は0から10mmとなります。
締め固め作業により非常に良く締まります。
金額はダストより安価です。
★粒度調整砕石
○ミックス(粒度調整砕石) M-40、M-30など
岩盤を砕いたもので、見た目はクラッシャーランと似ています。
クラッシャーランと異なるのは、粒度を調整していることです。
締め固めた時に隙間なく密となるよう、クラッシャーランより粒度の小さいものが多く配合されています。
締め固め作業により非常に良く締まります。
主な用途
道路構成の上層路盤
○リサイクルミックス(再生粒度調整砕石) RM-40など
構造物取壊しなどで発生したコンクリート塊等を砕いたものです。
ミックスと同様、粒度の配合を調整しています。
締め固め作業により非常に良く締まります。
金額はミックスより安価です。
★単粒度砕石 S-30、S-40など
岩盤を砕き、フルイにより粒度を揃えたものです。
○1号(S-80) 80~60mm
○2号(S-60) 60~40mm
○3号(S-40) 40~30mm
○4号(S-30) 30~20mm よく雨水浸透施設(トレンチ)に使用されます。
○5号(S-20) 20~13mm
○6号(S-13) 13~5mm よく庭に敷かれているサイズです。比較的歩きやすく、歩くと「ザッ、ザッ」と音がします。
○7号(S-5) 5~2.5mm
あと施工アンカー
用途は、既設の擁壁にコンクリートブロックを積む様な場合など、あと施工アンカーを打ち込むことで既設構造物との一体化を図ります。
また、機器の固定などにも使用されます。
あと施工アンカーにも大きく分けて2つの種類があります。
1.接着系アンカー(ケミカルアンカー、エポキシ樹脂アンカー等)
削孔した孔に接着剤を充填し化学反応により硬化させコンクリートとアンカー筋と固着させる。
硬化まで養生期間が必要
主に耐震補強や重要構造物で使用。
アンカー筋が破断するほどの強度が出る。
施工単価は高い。
2.金属系アンカー(ホールインアンカー、グリップアンカー、ボルトアンカー等)
削孔した孔に底部が拡張する構造の金属を挿入して拡張させコンクリートと固着させる。
施工後、すぐに次の作業が可能。
機器の固定やブロック積みのアンカーなどで使用。
φ10mmのアンカーで1t程度の引張荷重に耐える。
施工単価は低い。